平成12年みなづき(6月)XX日
私の「女シリーズ」を単行本にまとめてくれた編集者と飲む。『旅する女』『秋の女』『流れる女』など、8篇を収めたものだが、これらは「美しい日本女性へのオマージュ」として、捧げた作品だ。いろいろと話している内に、実は「女シリーズ」の海外版も書きたいのだ、とつい漏らしてしまった。一時そのことについて楽しい花が咲いたが、本当に実現できるといいなぁ。
平成12年みなづき(6月)XX日
水無月にはいって、かえってさわやかな天気が続いている。九州では大雨で死者も出たというが、関西と東京では、「カラ梅雨」の模様。入れ歯を治したせいで、漬け物もパリパリと食べられるようになり、食欲もでてきた。膝はあいかわらず頼りないが、気力はだいぶ「ハイ」になってきた。慶応大学三田校舎のキャンパスをあるきながら、若い人たちの「体臭」――昔のような汗臭さはないが――を嗅ぐと元気が出てくるような気がする。