平成12年やよい(3月)XX日
3月になって、とたんに暖かくなった。ぽかぽかしてくると、身体もほぐれて、気持ちもひろやかな気分になってくる。
SF大賞とSF新人賞の授賞式に出る。大藪春彦賞の授賞式もあるので、ハードボイルド派も含め、様々の顔ぶれが一堂に会し、にぎやか。新人賞の受賞者は男性だが、佳作受賞は二人とも女性。いずれも若々しく、さわやか。しかし、応募者の最長老が75歳だったことは、うれしい驚きだった。
久しぶりに銀座に出て、10年ぶりくらいに「梯子」。5丁目から8丁目まで、歩かされ、へとへと。だましやがったナ!
平成12年やよい(3月)XX日
名古屋からタクシーで蒲郡へ行った。あいにくの雨で、周りの景色はほとんど見えない。タクシーの運ちゃんがいままでで最高の長距離客に有頂天になって道を間違え、かつ蒲郡の競艇の話しかしないので、気が気ではない。しかしようやくついた蒲郡プリンスホテルは、すぱらしいアールデコスタイルの建物で、昭和9年の建造とのこと。いっぺんに気分が晴れた。上品にラウンジでケーキと紅茶なんぞをのんで、バーが開くまでの時間をつなぐ。バーで階下の結婚披露宴の祝い歌を聴きながら日本酒のグラスを傾ける、というのも、妙なもの。穏やかに10時半就寝。
平成12年やよい(3月)XX日
「いまどきのロボットたちと21世紀の楽しい未来」というシンポジウムで、「なま」AIBOを間近に見る。一人で遊んでいる仕草が、実にかわいい。片づけられるとき、ちょっと、といって触らせてもらう。家に帰ったら、この手を女房に触らせてやるのだ。
平成12年やよい(3月)XX日
ミステリー文学大賞の贈呈式のあと、また銀座にでる。夜には雨も上がって暖かくなり、銀座の人出も多い。虫と同じだ、暖かくなるともぞもぞと出歩きたくなると見える。5丁目のバーも、はじめはわれわれだけだったのに、あっという間に十五人くらい来て満員。昨日はお客さんゼロだったのに、とママさんがびっくりしている。また8丁目まで歩く。「パリ祭」と「パリの屋根の下」をフランス語で歌っているうちに、まただまされていつの間にかついてしまう。これが「ここは、お国の何百里・・・」だったら、途中で挫折していたかもしれないが・・・。
平成12年やよい(3月)XX日
小松市での「いま活かす ふるさとの芸能」シンポジウムで、佐渡ののろま人形、深瀬のでくまわし、淡路人形座の出し物をみる。のろま人形の「そろそろそろそろ」というかけ声とか、木偶人形の同じ節、同じ動きのくりかえしで見せてしまう不思議な力、淡路の本格的人形浄瑠璃のみごとさ。久しぶりに「人形」の作り出す「虚世界」に引き込まれた。そのたんびに舞台と客席をいったり来たりしなければならなかったのは、しんどかったが、何とかおつとめ果たしました。いいものを見せてもらいました。サンダーバードで帰阪。
前月へ