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 平成18年(2006)うづき(4月)21日

 午前中、日経新聞の取材。午後は、集英社から「サンダーバード」全編のストーリーボードと解説を全6巻で網羅する本を出版するという企画の、取材。
1966年から67年まで一年間、NHKで放映したイギリス製の人形芝居だが、SFとして実によくできていた。私の「空中都市008」を、糸あやつりでやる事になったのにも、影響しているのではないだろうか。夜は、三金会。二次会は、イオで。

 平成18年(2006)卯月(4月)20日

 城西国際大学紀尾井町キャンパスで行われるアメリカ・日本文学学会(AJLS)の打ち合わせ。「旅」のテーマで、何か話してほしいとのこと。「東海道中膝栗毛」の話をしようかと思うが、果たしてどうなるものか、さっぱりわからない。
 中野晴行君が、「酒井七馬」について調べたことを話しに来てくれる。今までほとんど知られていなかったことを、彼は丹念に調べて、遺族を捜して聞きにいったり、偉いもんだ。酒井七馬の作った紙芝居が、まだ残っているそうだ。秋には本になるとのこと。
 夕方は、日経新聞の取材。夜は、コマ研が大勢来てくれて、賑やかに幸せな夜を過ごした。

 平成18年(2006)うづき(4月)19日

 2007年ワールドコンの報告を聞く。日本人の参加者がまだ少ないようだ。この夏のSF大会を過ぎないといつも参加申し込みをしてこないとのこと。また、アジアへの呼びかけももっとするべきだろう。アジアで最初のワールドコンなのだから、中国、韓国など、政治的なことは関係なく、SFファンへのコンタクトは、積極的にやるべきだ。SFファンは、政治・思想・宗教にとらわれずにコミュニケートできる人間のはずだから。
 夜は、福田和也君が来て、BSフジの「メッセージ・jp」の打ち合わせをする。しかし、彼は、『文藝春秋』の締切があるからと、30分で帰ってしまった。彼の「闘う時評」は、毎号愛読している。若いのに、しっかりした評論をしていると、初期から注目していた。彼との対談は、楽しみだ。

 平成18年(2006)卯月(4月)15日

 日本文芸社から、私の本を出すということで、追加インタビューを受ける。
 地球文明の未来について、私が様々な形で書いてきたものをまとめてくれるとのこと。30年、40年前に書いたものでも、今まさに多くの人にとって普遍的問題として認識されるようになってきたと、編集者はいう。

 平成18年(2006)うづき(4月)14日

 フロンティア3000研究会。今回は、武庫女の三宅宏司さんが、日本のものづくりの系譜について話してくれた。
 彼は大阪砲兵工廠の歴史をまとめた人で、日本の産業技術の歴史を、現物を通して残し伝えていくことに尽力している。呉の海事歴史博物館の零式戦闘機も実物を見つけてきて、展示している。それは、彼の執念で自然に情報が集まってくるかのように、ふしぎに「誰それが持っている」とか、「ちょうど壊そうと思っていたからあげる」とかで、「物」が手に入り、それを万博記念公園内の鉄鋼館などに大事に保管しているのだ。どれもちゃんと動く状態に保っている、というのがすごい。スミソニアン博物館のように、国が産業技術博物館をつくって、日本の職人達の技術の歴史をちゃんと伝えるべきだ、というのが、彼の考えだ。そして、町工場の職人達に、技術の伝承が途絶えないよう、励まし工夫してもいる。東大阪の「まいど」という人工衛星のプロジェクトも、彼が「その気にさせた」ものだそうだ。

 平成18年(2006)卯月(4月)8日

 恒例の石毛さんの花見の会。ホテルニューオータニのトレーダービックス・ボートハウスで、大坂城を見下ろしながらの宴会だ。今年は桜の花がちょうど見頃で、天気も良くて大勢の人がでているのが見える。いつもながらに、三輪そうめんや美美卯のうどん、珍酒などが持ち込まれているが、石毛さんがこの日のために仕込んだ「桜酒」は、見かけも味も良くて絶品だった。桜湯用の桜を適当に塩抜きし、焼酎と蜂蜜につけて一月おいたもの。桜の花も入れてソーダで薄めると、洒落たカクテルになる。このボートハウスでの花見の宴は、今年で最後とのこと。来年はどこになるのだろうか。