前月へ

 平成16年(2004)葉月(8月)29日

 エキスポパークホテルで、太陽の塔を世界遺産にしよう、という会の第一回フォーラム。
岡本敏子さんとともに、太陽の塔に直接関わった人間として他の万博の関係者や、若い人と話した。
 私は岡本太郎さんが生きていたら、「そのまま朽ちるに任せ、残るものは残る」と言うだろう、と言った。しかし、色々な人の意見を聞いていると、太陽の塔はいまだにいきいきと、多くの人にエネルギーを与えているようだ。世界遺産どころか「宇宙遺産」にという、森見登美彦さんの『太陽の塔』という小説まである。熊野古道が世界遺産に指定されたが、その地元の人がいっていたように、推進活動をしていく過程で、地域全体が文化的に盛り上がり一丸になっていくのだそうだ。それこそが大事なのだろう。
 それにしても、今月はむちゃくちゃなスケジュールやったな。真夏日40日クリアーの猛暑だったというのに。

 平成16年(2004)はづき(8月)27日

 先月の四金会にも、久しぶりに梅棹さんが息子のマヤオちゃんといっしょに顔を出したが、今月も奥さんのお許しを得て参加した。
酒を飲み過ぎないように、というのは、我々も共通に山の神からきつく言われていることではある。石毛さんも小山も、同じ。

 平成16年(2004)葉月(8月)22日

 SF大会二日目は、私の企画で「戦争と文学・宇宙と文学」のセッション。巽孝之くんが聞き役になってくれたので、私にとっての文学の核になる「戦争」と「宇宙」について、リラックスして話すことが出来た。
 帰りの名古屋駅で、どなたか存じませんが私のファンという方が、松浦屋の鶏ご飯弁当をくださった。「首都消失」のなかで私がしつこいほどメンションした絶品の駅弁だ。ありがたいことだ。

 平成16年(2004)はづき(8月)21日

 岐阜の長良川国際会議場で行われるSF大会に行く前に、サンヨーの「ソーラーアーク」を見学した。
岐阜羽島を通過するとき、いつも新幹線から見えていて、気になって仕方がなかったのだ。
 私の兄貴がやはりサンヨーで、アモルファスをやっていたので、太陽光発電のこれからの可能性について、本当のところを聞きたかった。
幸い、研究所で兄貴といっしょだったという阪本館長が案内してくださった。
 透明な電池パネルや、光を直接運動エネルギーに変換する仕組みとか、色々なものを見せてもらったが、なによりも「ソーラーアーク」の建物そのものが面白い。トラフ構造に電池パネルを貼り付けただけのものだが、シンボリックな迫力がある。

 SF大会は、毎年あちこちでやっているのだが、今年の会場は、安藤忠雄設計のモダンな国際会議場で、宿舎のルネッサンス・ホテルとつながっている。
それはいいのだが、まず、どこも禁煙なのと、エレベーターはあってもそこまでたどりつくのが大変。複雑でわかりにくい。ホテルの部屋は長良川越しに金華山を望めるジュニア・スウィート。コマケンや宇宙作家クラブの面々に来てもらい、そのあともどこかの部屋に行けば相手になってくれるので、3時過ぎまで盛り上がっていた。

 平成16年(2004)葉月(8月)20日

 10/13にイイノホールでやる地球シミュレーションセンターのシンポジウムの打ち合わせ。
「タイムスリップグリコ」でこんどEXPO70のシリーズを作り、太陽の塔やパビリオンのフィギュアーをおまけに付けるのだそうだ。私は岡本太郎さんといっしょに太陽の塔のサブ・プロデューサーとして仕事をしていたので、当時の想い出を書かされた。ヴェネチアのヴィエンナーレに出展するのだそうだ。小さなものを精密に作る技術は、日本はお手の物。まさにアートですな。

 平成16年(2004)はづき(8月)19日

 東京事務所で、上沼恵美子のコンサートで流す「エミリーの泉」という「トリビアの泉」のパロディー版に「海遊館の名付け親は上沼恵美子だ」という「ヘェー」の証人としてビデオを撮られた。「海遊館」の名称選定委員会のメンバーだったのだ。
 夜は、松本零士さんの巣窟から発掘された私の漫画『大地底海』のオリジナルに近い版をもって、日高敏が来た。
破いて燃やしてしまおうかと思ったが、いま見ると、なかなかきれいな本で、表紙絵はアメリカンコミックふうな少年の絵で、英字新聞を読んでいるその文面が、タイトルと作者の名前になっている。ずいぶんと凝ったことをしたものだ。

 平成16年(2004)葉月(8月)10日

 吹田文化会館(メイシアター)に行く。
 1979年9月に公演した芝居「三つの明日」を演出した仲川利久に話を聞きに行ったのだ。
 鬼塚というとんでもない後輩にあおられて書いたシナリオを、本当に芝居にしてくれたのが彼。
じっくりと話を聞いてみると、鬼塚というのは全くの「奇才」であることが解る。その辺の話は、「小松左京マガジン」で紹介する予定だ。